こんにちは、しばやんです。
危険物丙種は、丙種、乙種、甲種と3種類ある免状の中で、もっとも合格しやすい免状です。
なぜならば、「勉強範囲がせまく、覚える危険物の知識がもっとも少ない」からです。
勉強範囲がせまく勉強がしやすく、初めての危険物取扱者試験には丙種はオススメといえます。
そこで、危険物丙種の試験概要や問題数などの試験内容まで、危険物取扱者試験 初心者の疑問を解決していきたいと思います!
危険物丙種とは
危険物取扱者の免状は、丙種、乙種、甲種と3種類があり、それぞれ「取り扱える危険物」の種類によって違ってきます。
下の表をみると、危険物丙種で取り扱える危険物は、「乙種第4類(=危険物乙4)の一部」ということが分かります。
免状の種類 | 取り扱える危険物 | |
甲種 | すべての危険物 | |
乙種 | 第1類 | [酸化性固体]:過塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウムなど |
第2類 | [可燃性固体]:硫黄、鉄粉、マグネシウムなど | |
第3類 | [自然発火性物質・禁水性物質]:カリウム、ナトリウム、黄リンなど | |
第4類 | [可燃性液体]:ガソリン、灯油、軽油、重油、アセトンなど | |
第5類 | [自己反応性物質]:ニトログリセリン、硫酸ヒドラジンなど | |
第6類 | [酸化性液体]:過塩素酸、過酸化水素、硝酸など | |
丙種 | ガソリン、灯油、軽油、重油など |
さらに正確に表現すると、危険物丙種が取り扱える危険物は次のようにいえます。
危険物の規制に関する規則第49条に定めるガソリン、 灯油、 軽油、第3石油類 (重油、 潤滑油及び引火点130度以上のものに限る。)、第4石油類及び動植物油類
詳細は、試験勉強の時まで置いといてもらってOK。まずは、危険物丙種は、乙4の中でも身近な石油製品を取り扱うことができると思っていただけば大丈夫です。
丙種は乙4と似ているなぁ。
危険物丙種と乙4は似ていますが、2つだけ大きな違いがあります。
- 丙種は、無資格者の作業に立ち会うことができない。
- 丙種は、危険物保安監督者になれない
危険物の取扱いは、免状をもっていない無資格者でもできます。ただし、取り扱う危険物に対応した乙種または甲種の免状をもっている人が、取扱い作業に立ち会っている場合です。
つまり、丙種は無資格者に作業をさせることができません。あくまでも、危険物丙種は自分が作業をするための資格です。
また、作業員を監督するための権限や安全を管理していく職務(=危険物保安監督者)にもなれません。
大学生時代に無資格だった私が、ガソリンスタンドでアルバイトができたのは、資格を持った店長が作業に立ち会っていたためです。そして、私をあごで使っていた店長が危険物保安監督者でした。
危険物丙種を受験するメリット
危険物丙種で取り扱える危険物の種類、無資格者の作業立ち会いができない点を考慮すると、メリットがある人は以下の人たちです。
- 石油製品の配送ドライバーのように丙種が必要な人
- 危険物取扱者試験を初めて受験する人・乙4を狙う人
「危険物 丙種」の求人の大半は、石油製品(主にガソリン、軽油、重油)の配送業務です。中型から大型タンクローリーのドライバーです。
ドライバーの人は、本人だけが危険物の取扱いができればいいので丙種が必要です。仕事で丙種が必要な人が、乙4を受験することはむしろデメリットになります。
また、危険物取扱者試験を初めて受験する初心者の人にとっては、「危険物取扱者 入門」として受験するメリットがあります。
試験に出てくる特有の用語、特に法令は1回試験を受けるだけで苦手意識がなくなります。そして、勉強範囲も丙種は乙4とかぶっているため、乙4を受験する時に勉強したことが無駄になりません。
乙4合格を本命とする場合、苦手意識をなくすために丙種からのステップアップ受験もオススメです。
危険物丙種 試験の概要
危険物丙種は、誰でも受験できる
試験をうけるために必要な制約条件はありません。
危険物丙種は、受験したい人全員が受験することができる資格です。
試験日程は、各都道府県によって違う
試験日程は、各都道府県によって違います。
受験する場合には、受験したい都道府県の日程を必ず確認してください。
試験手数料は、3,700円
令和4年2月現在、危険物丙種の試験手数料は、3,700円です。
試験願書の申請方法は、「書面申請」または「電子申請」
申請方法には、「書面申請」と「電子申請」の2種類があります。
「書面申請」は、各都道府県の消防本部や、消防試験研究センター各道府県支部などで配布されている紙の願書によって、受験申請をする方法です。
「電子申請」は、消防試験研究センターホームページにある専用ページから、サイト上で必要事項を打ち込んで、受験申請する方法です。電子申請は、申請自体は簡単ですが、受験票のダウンロード・印刷など慣れていないと逆に難しく感じてしまうこともあります。
危険物丙種 試験の内容
試験方法は、4肢択一式のマークシートを使った筆記試験
試験は、4肢択一式のマークシートを使った筆記試験のみで、実技試験はありません。
4つの選択肢から正解となる選択肢1つを選んで、マークシートの番号を塗りつぶす方法です。
筆記試験 | 実技試験 |
---|---|
マークシートを使用 4肢択一式 | なし |
試験科目は、3科目 問題数は全部で25問
試験科目 | 問題数 | 試験時間 |
危険物に関する法令 | 10問 | 1時間15分 |
燃焼及び消火に関する基礎知識 | 5問 | |
危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 | 10問 |
危険物丙種の試験科目は、いわゆる「法令」、「燃焼と消火」、「性質・消火方法」の3科目。丙種が乙種や甲種と大きく違うところは「物理化学」の科目がないことです。
丙種以外の危険物取扱者試験で、「物理化学」のせいで惜しくも試験に不合格になる受験生はけっこういます。「物理化学」の科目は、危険物取扱者試験の合否を握っているといっても過言ではありません。
丙種の試験には「物理化学」がないため、比較的、点数を取りやすい科目のみで試験を受けることができます。
3科目合計25問を、試験時間1時間15分で解答していきます。乙4と甲種を受験した感想としては、試験時間が足りなくなることはないと思います。
3科目全部で60%以上正解できれば合格
試験科目 | 問題数 | 合格に必要な正解数 |
危険物に関する法令 | 10問 | 6問以上 |
燃焼及び消火に関する基礎知識 | 5問 | 3問以上 |
危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 | 10問 | 6問以上 |
丙種の試験の合格基準は、試験科目ごとの正解数が60%以上であること。1科目でも60%未満の正解数であれば、試験は不合格となります。
3科目まんべんなく勉強する必要があります。苦手科目を作らないことが大切です。
危険物丙種試験の合格率
危険物丙種試験の合格率は、試験を実施している消防試験研究センターが公表しています。
各年度ごとの公表データから、危険物丙種試験の合格率は、約50%前後です。
ここで、勘違いしてはいけないことが1つあります。
「勉強しても50%の人しか合格できない難しい試験」だと勘違いすることです。
違います!勉強して各科目60%以上正解した人は、100%合格しています。決して周りの受験者の影響は受けません。合格に必要なのは自分自身が勉強した成果だけです。
勘違いをして合格率に不安をおぼえたり心配したりせず、勉強に集中することが合格への近道です。
危険物丙種試験の難易度
危険物丙種は、危険物取扱者試験の中でも「危険物について初心者」や「危険物取扱者試験の初受験者」にとっては合格しやすい資格です。
理由は2つあります。
- 勉強する危険物の種類が一番少ない
- 専門知識がいる「物理化学」の科目が試験に出ない
危険物丙種が取り扱える危険物は、「乙4の一部」です。つまり、丙種は乙4で勉強する危険物の数よりさらに少ない危険物を勉強するだけでいいわけです。危険物について初心者の人にとっては、危険物の数が少ない分、一つ一つの危険物をじっくりと勉強することができます。
危険物取扱者試験の初受験者にとっては、「法令」や「危険物の性質・消火方法」といった乙種や甲種にも共通する基本知識に慣れるために勉強時間を使う必要があります。しかし危険物丙種では、出題範囲が広く、専門知識が必要な「物理化学」に余計な勉強時間をつかわないですみます。
危険物丙種 よくある疑問Q&A
Q.危険物丙種の正式名称は?
A.資格としての正式名称には「丙種危険物取扱者」です。ちなみに読み方は、丙種(へいしゅ)です。
試験に合格して履歴書に書く場合は、「丙種危険物取扱者免状 取得」で大丈夫です。
乙4は「おつよん」です。
Q.丙種の過去問はありますか?
A.試験を実施している消防試験研究センターのホームページにて一部公開されています。
危険物取扱者試験は、試験問題を持ち帰ることができないため、厳密な意味での「過去問」はこれだけです。試験対策としては問題数が少なすぎます。
しかし、個人や企業の努力によって出題傾向をつかんだ問題掲載サイトや問題集があります。試験対策としては、過去問と合わせて利用してみてください。
令和3年6月公開分の「過去問」は25問です
Q.丙種に合格するための勉強時間は?
A.約28時間です。
実際に丙種のテキスト「公論出版 丙種危険物取扱者試験 第2版」を購入して内容を確認しました。
テキスト部分と収録問題を一通り終えるのに1日2時間で1週間程度。そして、同じようにもう1週間で収録問題をできるだけ繰り返して解いて、知識を暗記。
1日2時間の合計2週間の勉強時間(2×14日=28時間)は十分に余裕をもった勉強時間です。受験を決めたら「消防試験研究センター」公式ホームページへ
まずは自分の勉強ペースを見極めよう!
Q.丙種に合格するためのコツはありますか?
A.テキストを一読してから願書を出す。
ただし、今すぐに危険物丙種の資格が必要ない人の場合です。
多くの受験者は、テキストを読んで問題を繰り返して解くと思います。そこで、テキストを事前に読んでおくと、受験申請後の勉強時間を問題を解くことだけに使えます。
危険物取扱者試験は、問題を繰り返し解いて、内容をどれだけ覚えたかどうかで合否が決まります。少しでも内容を覚えることに時間を使えば、合格率は確実にアップします。
気持ちに余裕をもって勉強しよう!