こんにちは、しばやんです。
2022年10月2日(日)実施予定の建築物環境衛生管理技術者試験(以下ビル管試験)の申し込みが開始されました。
申し込みと同時にテキストや問題集を購入したりと勉強準備を始めた方や、さっそく過去問を解き始めた方もいると思います。
もし過去問を解き始めていたら一旦やめてください!
なぜかというと、建築物環境衛生管理技術者試験(以下ビル管試験)の出題にも関わってきそうな法律が令和4年(2022年)4月1日施行されて変更になりました。
その結果、過去問の解答や解説が変わってしまうからです。
せっかく問題演習に集中したいときに、変更になった解答や解説で混乱してしまい、時間を浪費するのはとてももったいないです。事前に変更になった問題を把握して修正しておけば、問題演習の効率を落さずにすみます。
しばやん調べでは、過去問10年分の中で法改正によって「解答」が変わる過去問が3問、「解説」が変わる過去問が8問ありました。
ぜひ過去問を解き始める前に、過去問題集に変更内容を書き込こんでおきましょう!
2022年ビル管法改正の概要
ビル管法の2022年法改正によって次のように基準などが変わりました。
法改正により変更された部分が必ず試験に出るとは限りませんが、内容は確認しておこう!
「解答&解説」が変わる過去問(3問)
2013年(平成25年)【問題8】
建築物環境衛生管理基準に基づく空気環境の調整に関する記述のうち、誤っているものが問われた問題ですが、法改正により
正解が(1)から、(1)と(3)に変更になります。
選択肢(3)一酸化炭素の含有率は、大気中における一酸化炭素の含有率が100万分の10を超える場合は、特例として100万分の20まで認められている。
法改正により、一酸化炭素の含有率の上限値に関わる特例が「削除」され、特例自体がなくなったため、選択肢(3)の内容も誤りとなってしまいました。
2014年(平成26年)【問題10】
空気環境の測定結果の表をもとに、建築物環境衛生管理基準に適合しない項目の組み合わせが問われた問題ですが、法改正により
正解が(5)から、正解なしに変更になります。
(5)一酸化炭素の含有率と二酸化炭素の含有率と温度と気流
問題では、一酸化炭素の測定結果は、1回目が8.5ppm、2回目が7.5ppmとなっています。
しかし、法改正により一酸化炭素の含有率の上限値は6ppm以下となったため、一酸化炭素も適合しない項目になり、適した解答がなくなってしまいました。
2018年(平成30年)【問題30】
建築物衛生法による一酸化炭素の含有率の基準値として、最も適当なものを問われた問題ですが、法改正により
正解が(4)から、正解なしに変更になります。
(4)原則10ppm以下
法改正により、上限値6ppm以下への変更、一酸化炭素の含有率の上限値に関わる特例の「削除」により、適した解答がなくなってしまいました。
「原則」という表現も例外があっての表現です。そのため、例外が削除されていますので表現としても誤っているので、やはり正解はなしとなります。
「解説」だけが変わる過去問(8問)
2014年(平成26年)【問題6】
建築物における衛生的環境の確保に関する法律に基づく特定建築物の所有者等に選任された建築物環境衛生管理技術者に関する最も適当な記述を問われた問題です。
(2)いかなる事由があっても同時に2以上の特定建築物を兼任することはできない
選択肢の内容自体は、不適当な内容に変わりはありませんが、不適当な理由が変わっています。
法改正前も「兼任」に関しては認められていました。しかし、兼任を認める条件が法改正前後で変わっています。
法改正前の条件は、「特定建築の相互の距離や用途、構造設備、延べ面積、所有者等が同一」といった内容でしたが
法改正後の条件は、「業務に支障がないことが確認できていること」です。
「兼任できる条件」が変更されたことをぜひ覚えておきましょう。
「業務に支障がないことが確認されている場合、同時に2以上の特定建築物を兼任することができる」といった選択肢が出題されるかもしれません。
2015年(平成27年)【問題8】
建築物環境衛生管理基準に基づく空気環境の基準値に関する最も誤った記述を問われた問題です。
(4)空気調和設備を有する場合の温度は、16℃以上28℃以下である
選択肢の内容自体は、不適当な内容に変わりはありませんが、不適当な理由が変わっています。
空気環境に関する基準値の温度は、17℃以上28℃以下から、法改正により18℃以上28℃以下に変更になりました。
「空気調和設備を有する場合の温度は、18℃以上28℃以下である」といった選択肢を、誤りと判断しないように注意しましょう。
2017年(平成29年)【問題6】
建築物環境衛生法に基づく備え付けておくべき環境衛生上必要な帳簿書類に関する問題です。
問題の選択肢には、建築物環境衛生管理技術者の兼任をするための「確認の結果を記載した書面」が含まれていません。ぜひ解説を追加しておきたい問題です。
法改正により、「建築物環境衛生管理技術者の兼任をするための確認の結果を記載した書面を5年間保存する」ように変更になっています。
ぜひ、備え付けておくべき環境衛生上必要な帳簿書類とそれらの保存期間は再確認しておきましょう。
2017年(平成29年)【問題21】
空気調和設備を設けている事務所について、労働安全衛生法に基づく事務所衛生基準規則で定められている基準の項目とその基準値の組み合わせで、最も不適当なものを問われた問題です。
(3)気温:23~28℃
選択肢の内容自体は、不適当な内容に変わりはありません。
しかし、事務所衛生基準規則も2022年4月1日付で改正になっており、室の気温は18℃以上28℃以下に変わっています。
問題の本文で「建築物環境衛生管理基準に基づく空気環境の基準値」や「労働安全衛生法に基づく事務所衛生基準規則」と表現を変えて出題されていますが、部屋の温度に関する基準値は同じです。
2018年(平成30年)【問題6】
建築物環境衛生管理基準に基づく空気環境の調整に関する最も正しい記述を問われた問題です。
(1)温度の基準は、15℃以上29℃以下である
選択肢の内容自体は、不適当な内容に変わりはありません。
選択肢の内容が誤っていると判断する基準値が、法改正により18℃以上28℃以下に変わっています。
2019年(令和元年)【問題9】
建築物環境衛生管理技術者に関する最も適当な記述を問われた問題です。
(1)特定建築物ごとに選任しなければならないので、同時に2以上の特定建築物の建築物環境衛生管理技術者となることは、いかなる場合も認められない
選択肢の内容自体は、不適当な内容に変わりはありません。
法改正前も「兼任」に関しては認められていました。しかし、法改正後には兼任を認める条件が「業務に支障がないことが確認できていること」になりました。
法改正前から兼任は認められていましたが、兼任を認める条件が変わったことは覚えておきましょう。
2021年(令和3年)【問題6】
建築物衛生法に基づき備え付けておかなければならない帳簿書類とその保存期間との組合わせとして最も適当な記述を問われた問題です。
選択肢には、法改正後に追加された建築物環境衛生管理技術者の兼任をするための「確認の結果を記載した書面」や「保存期間」の記述はありませんが、ぜひ内容は確認しておきましょう
2021年(令和3年)【問題7】
建築物衛生管理基準に規定されている空気環境の調整に関する最も適切な記述を問われた問題です。
(4)外気の一酸化炭素の含有率が高いため基準値の10ppm以下を保てない場合は、基準値を50mmp以下とすることができる
選択肢の内容自体は、不適当な内容に変わりはありません。
法改正により選択肢ような例外は削除されなくなり、一酸化炭素の含有率の上限値は6ppm以下と変わりました。
「外気の一酸化炭素の含有率が高いため基準値の6ppm以下を保てない場合は、基準値を10ppm以下とすることができる」といったような法改正前後の基準値を組み合わせたいやらしい選択肢も出てくるかもしれません。
あくまでも、法改正後の基準値にもとづいて選択肢の正誤を判断していきましょう!
修正が面倒くさい人にオススメの参考書
法改正後の内容をいちいち修正したくない方には、この過去問題集をオススメします。
「オーム社 全7科目354分類ビル管理技術者試験問題集」
2022年6月現在、法改正の内容が反映されている過去問題集はオーム社から出版されている全7科目354分類ビル管理技術者試験問題集だけです。
実際に購入してみて内容を確認しましたが、しっかりと変更されていましたので安心してください。
初受験の方で、分類ごとにまとめられた過去問題集の購入を検討されている方には、特にオススメです。Amazonで試し読みができますので、購入前に問題集のイメージをつかんでおきましょう。
まとめ
まず法改正後の内容を覚えてから過去問題を解くことで、選択肢の正誤を正しい理由で判断することができます。
逆に、法改正後の内容を覚えずに過去問題を解いてしまうと、間違った理由で問題を解いてしまい、あとになって覚えなおす必要があり、勉強効率がとても悪くなります。
法改正された内容が試験に必ずでるとは限りません。しかし、出題されれば必ず法改正後の内容です。
法改正の内容が反映されていない過去問題を解き、誤った内容を覚えたまま本番の試験にのぞまないように注意してください!