こんにちは、しばやんです。
私は、「乙種4類」は平成15年(2003年)に、 「甲種」を令和3年(2021年)に取得しました。
今回は、18年ぶりに受験した「甲種」に合格するまでの体験談です。
実際に使用したテキストや問題集、勉強方法なども紹介していますので参考にしてみてください。
はじめに
甲種 危険物取扱者試験の受験資格
「乙種」は、誰でも受験することが可能でしたが、「甲種」には受験資格が必要となります。
以下のいずれかに該当すると受験することが可能です。
- 大学等において化学に関する学科等を修めて卒業した者
- 大学等において化学に関する授業科目を15単位以上修得した者
- 乙種危険物取扱者免状を有する者
- 修士・博士の学位を有する者
「大卒などの化学の専門知識がある人」、「数種類の乙種危険物免状を取得した人」の大きく2つのパターンになると思います。
受験資格の詳細は、「一般財団法人 消防試験研究センター 受験案内」を確認してみてください。
甲種のメリットは?
一番のメリットは、第1~6類危険物の「すべて」を取り扱うことができることです。
会社としては危険物の変更・追加があった場合、甲種を持ったあなたがいてくれれば、乙種を追加で取得する時間や労力を必要としません。会社としては、あなたさえいてくれれば充分なんです。
また、よりメリットがあるのは学生の方だと思っています。
進学や就職活動において、あなたが「乙4」、競走相手が「甲種」を持っているのであれば、上位資格の「甲種」持っている方がすでにスタートラインで一歩リードしていることになります。
あなたはマイナスからのスタートです。
その逆もありえます。あなたが一歩リードした状態でスタートを切れるかもしれません。
もし、資格を取得するだけで競争相手よりマイナスにならずにすむのなら、ぜひ取得して欲しいと思っています。
差別化を図るなら最上位免状である「甲種」を取っておくべきです!
甲種の試験科目と合格基準
マークシートを使った五肢択一式の筆記試験で、試験科目は全部で3科目、問題数は全45問です。
①危険物に関する法令(=法律)
②(危険物の性質を理解するために必要な)物理学や化学の知識
③危険物それぞれの性質や火災予防・消火方法
試験科目 | 問題数 | 合格に必要な正解数 (60%以上の正答率) |
①危険物に関する法令 | 15問 | 9問以上 |
②物理学及び化学 | 10問 | 6問以上 |
③危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 | 20問 | 12問以上 |
「乙種」との違いは
- 基礎的な物理学及び化学→物理学及び化学へと科目名が変更(出題内容がやや専門的に)
- ③危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法の問題数が10→20問へ増加
合格基準は、「乙種」と同じで、試験科目ごとの成績がそれぞれ60%以上で合格となります。
危険物取扱者試験 甲種の勉強は難しいのか?
受験前に難易度を調べていたところ「乙4」よりも詳しい知識が試験に出るから難しいという口コミが多くありました。
しかし、試験を受けた感想としては、「それでもテキストの知識を覚えていれば合格できる」です。
「乙4」のテキストに比べ、内容が急激に難しくなったわけではありません。
大きく変わったのは「乙4」のときよりも覚えるボリュームが確実に増えたことです。
そうなんです。「甲種」が難しいと言われるのは「覚える量が多い」からなんです。専門性の高い知識を問われるから難しいわけではありません。
実は、「甲種」も「乙種4」も難易度は同じ!ただし、暗記する量は増えます。
危険物取扱者試験 甲種はどんな勉強が必要?
勉強は、問題を繰り返し解くことで暗記と忘れ防止を同時にやっていく方法でやりました。
「危険物取扱者試験の勉強方法」で紹介していますので、よかったら読んでみてください。
勉強時間と勉強期間
勉強期間は、約2カ月です。テキストと問題集を購入して試験までの期間になります。
1日あたりゼロから5時間程度のペースで勉強をしました。
トータルの勉強時間は、約75時間。約2カ月の勉強期間のわりには少ないかもしれません。
夜勤の次の日は睡眠不足で勉強時間がゼロとなることも多かったためです。
やる気が出ないときは必ずありますので、「今日は休み!」と割り切りました。
しかし、2日続けての勉強ゼロだけは避けようと自分には言い聞かせていました。
自分を甘やかしすぎ、厳しくしすぎずで試験まで走り続けましょう!
口コミは、勉強期間より勉強時間を参考にしましょう!
テキストと問題集
テキストと問題集で計2冊使用しました。
- 弘文社 「わかりやすい!甲種危険物取扱者試験」第2版 工藤政孝著
- 公論出版 「甲種危険物取扱者試験 2020年版」
テキストは、「乙4」の際に使ったテキストと同じ作者のものを選びました。
余談ですが、工藤政孝さんは資格テキスト業界で「ごろ合わせ」を広めた元祖ではと、勝手に信じてます。
「ごろ合わせ」は、完全に好みだと思います。この辺りが、テキスト選びの難しさかもしれませんね。
しかし、暗記で合格できる試験では、「ごろ合わせ」は決してバカにできないのでご注意を。
問題集は、本番の試験に出題形式が同じものを選びました。
〇か×かで解答する形式ではなく、五択の選択肢からひとつ選ぶ 形式のものです。
実は、テキストにも充分な問題は収録されていますが、できるだけ問題を解きたいので別途、用意しました。
「公論出版 甲種危険物取扱者試験」は毎年、問題収録数を増やして新版を出されています。
最新版のチェックをお忘れなく!
「わかりやすい!甲種危険物取扱者試験」第2版 (問題収録数:計456問)
法令 | 基礎的な物理学・化学 | 危険物の性質・消火方法など | 模擬試験 |
103問 | 103問 | 205問 | 45問 |
「公論出版 甲種危険物取扱者試験 2020年版 」 (問題収録数:計651問)
法令 | 基礎的な物理学・化学 | 危険物の性質・消火方法など |
232問 | 148問 | 271問 |
(しばやん調べ)
試験を受けてみての気づきやコツ
勉強開始前にやること
本格的に勉強を開始する前にやっておいた方がいいことが2つあります。
- (本当の意味での)出題されたことのある過去問題の入手
- テキスト・問題集の出版社ホームページで正誤表がないかを確認
1つ目は、危険物取扱者試験は問題を持って帰ることができません。そのため、確実に出題された問題かどうかは、出題している消防試験研究センターのみが知るところとなっています。
しかし、定期的に消防試験研究センターから「過去に出題された問題」として数十問の問題をpdf形式のファイルで公表されます。これが本当の過去問です。
無料で入手することができますので、ぜひ 消防試験研究センター のホームページを訪れてください。
2つ目に、どうしても書籍には誤植がつきものです。間違ったままの知識を暗記してしまうとなかなか後で修正することが難しくなります。
ぜひ、お手持ちのテキストや問題集の正誤表が、出版社のホームページに掲載されていないかを確認してください。もしあれば、一番に修正をしましょう。
勉強の順番(科目)
私は、どんな試験でも法令に苦手意識があるため
法令 → 物理学及び化学 → 危険物の性質及び消火の方法
の順で勉強して、 全科目80%正解することができました。
合格できた一番のポイントは、「物理学及び化学」で基本問題を取りこぼさずに60%以上正解できたことだと思います。
なんといっても「 物理学及び化学 」は、間違えることができる問題数が4問と本当に少ないんです。
「似た問題を解いたのになぁ」「あれ?解き方が思い出せないなぁ」とうろ覚えは危険です。
そのため、 「 物理学及び化学 」 に苦手意識がある人は最優先に、そうでない方も問題演習を通して
確実に物理学及び化学の原理を「理解+暗記」していく必要があると思います。
物理学及び化学の勉強は、理解と暗記をセットで!
法令と 危険物の性質及び消火の方法 の順番ですが
暗記するボリュームが多い「 危険物の性質及び消火の方法 」を最後に勉強して、できるだけ試験まで忘れないで走り抜けることをオススメします。
2つのパターンのどちらかで勉強されてはいかがでしょうか。
- 物理学及び化学→法令→危険物の性質及び消火の方法
- 法令→物理学及び化学→危険物の性質及び消火の方法
「物理学及び化学」の問題数は全10問です。
合格するためには、6問以上の正解が必要となります。
そのため、勉強する時に捨てた分野の問題や理解があいまいな分野の問題が出題された場合には非常に合格が厳しくなります。
勉強の順番(危険物の種類)
できるだけ性質が似た分類を続けて勉強し、間に合わなくてもいいと割り切って、暗記する危険物の種類が多い第4類を最後に勉強しました。
順番は以下の通りです。
- 第6類(酸化性液体)
- 第1類(酸化性固体)
- 第2類(可燃性固体)
- 第3類(自然発火性および禁水性物質)
- 第5類(自己反応性物質)
- 第4類(引火性液体)
試験には、本当にまんべんなく、各類の危険物から数問ずつ出題されていました。
つまり危険物の種類が少ない類の出題数が少ない印象は受けませんでした。
そのため、危険物の種類が多い類は、暗記する量は多いが割に合わない印象も受けました。
そこで、勉強の進捗状況によっては、第4類のように種類が多い場合には、思い切って頻度の高いものに的をしぼって、確実に暗記することへ重点を切り替えてもいいと思います。
私は、第4類で何度覚えてもすぐに忘れてしまう危険物がいくつかあり、時間のムダと割り切り
思い切って覚えるのをやめました。でも、出題されていましたが(笑)
うろ覚えほど試験で後悔することはないですね。
試験の出題について
実際の試験問題は、テキストや問題集とまったく同じ問題の出題はほぼありませんでした。
やはり、見たこともない言葉や問題が1割程度あった印象です。
しかし、60%以上の問題に正解して合格するためには、テキストや問題集の内容で充分。
テキストや問題集で暗記した知識で、正解を直接選ぶこともできました。
ほとんどの場合は、それらの知識を活用して五択の選択肢を消去していくことで、正解を導きだすことができました。
やはり、テキストや問題集の知識を暗記することが合格への近道であることは間違いがありません。
参考になるかわかりませんが、記憶に残っている出題問題を2問紹介しておきます。
「0.1mol/ℓの炭酸ナトリウム水溶液を作る操作で正しいものを選べ 」
見た瞬間、問題集と一語一句同じ問題だと感じました。
実際には選択肢の細かな数字は変わっていたかもしれませんが、解き方を理解、暗記していたので自信をもって解答することができました。
「物理学及び化学」の範囲での問題だったので、本当に運がよかったです。
全く同じ問題がでることは珍しいことだと思いますが、出ても問題演習をしていれば対応できるのはラッキーです。
「ハザードマップ上での移送取扱所の設置に関する誤っているもの選べ」
もう1問は、法令の「移送取扱所」に関する出題です。
受験者を動揺させる悪魔ワード「ハザードマップ」がくっついた出題でした。
この問題は私の中で、1割程度の見たこともない問題に含まれています。
すでに「法令」を勉強された方は、ピンとこられるかもしれませんが
テキストや問題集には、「移送取扱所は、鉄道や隧道(トンネル)内には設置できない」という内容があります。
そのままの表現で「移送取扱所は、鉄道や隧道(トンネル)内には設置できない」と 選択肢になっていたので、まったく勉強範囲外ともいえません。
市販のテキストや問題集の知識にくわえて別の知識を求める問題も確実に出題される一例です。
最後に、試験問題独特の表現についてです。
特に、初めて危険物取扱者試験を受験される方は、テキストの表現とは違う選択肢の表現に困惑されるかもしれません。
テキストの表現を暗記しても充分なのですが、より試験に近い実戦的な表現で暗記する場合は、問題集の活用をオススメします。
(2024年5月29日追記)
出題形式「〇〇の組み合わせはどれか?」 の増加
受験したときは、たまたまかと思っていたのですが、最新の問題集を見るとやはり増加傾向にあります。
これまでは「正しいものはどれか?」「誤っているものはどれか?」といった出題形式がほとんどでした。この場合は、すべての選択肢の正誤判断ができなくても、正解の選択肢は一つと決まっていたため消去法でなんとなく正解を選ぶことができました。
しかし、正しいものまたは誤っているものの「組み合わせ」を選ぶには、すべての選択肢の正誤判断ができる必要があります。
試験で求められている知識はこれまでと変わっていませんが、「知識を確実に覚えているか」が問われ始めているようです。マークシート試験の欠点が修正されたともいえます。
まとめ
動画では、勉強全体の流れも紹介していますので、よかったら見てみてください。
とにかく危険物甲種は、覚えることが多いので時間がかかる資格です。
逆に考えると、覚えることができれば合格できる資格です。
是非、危険物取扱者試験「最上位」である甲種にチャレンジしてみてください!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。